ゲロゲロの原発
原子力発電所の汚染管理区域内の作業では、空気中に漂う放射性物質の体内への取り込みを防止するために全面マスクやフードマスク等が使用されています。
(自力でフィルターを通した空気を吸い込まなくてはならない為、抵抗があり、重作業を行なうと身体的ストレスが大きい。)
(モーターでフィルターを通した空気を強制的に送風する為、呼吸がしやすくなっていますが、狭隘な作業場所ではマスクが変形してフィルターを通らない空気を呼吸してしまう危険がありました。)
ある時の工事開始前日。ここに一人の放射線業務従事者が居りました。
翌日に汚染区域内の作業があることを知っていたにもかかわらず、友人達の誘いを断れず、飲み屋を転々と・・・。
お酒が廻って来ると、つい、その場の勢いに飲まれ、その日はベロンベロンになるまで飲みました。(私の所属していた会社にはこんなのばっかし・・・)
翌日、勿論昨夜のお酒が抜けきれずに二日酔い。しかし二日酔いで仕事を休む訳にはいきません。
今にも吐きそうな体に鞭打って、作業場に到着すると「本日は汚染区域内の作業のため全面マスクを着用して作業を行ないます。」と監督からの指示。
「二日酔いで吐きそうなので全面マスクは着用できません。」とは言えずに作業現場へ向かった作業員。案の定・・・全面マスクを着用した時に我慢ができずに「ゲロゲロ・・・」
左の写真は、実際に全面マスクを着用して作業を行なっている作業者の様子です。
写真を見てもわかる様に、全面マスクは面体が顔面に密着され、しかもテーピングで固定されています。
全面マスクを装着した後に「ゲロゲロ」した作業員。「ゲロゲロ」だけでも気持ち悪いのに、面体をとっさに取り外す事が出来ずに・・・・自分のゲロで溺れる破目に・・・窒息。
汚染区域の中だというのに現場は大パニック状態になりました。
この作業員の生命は取り留めたものの、自分のゲロで窒息死なんて笑い話にもならない(今となっては実際に笑い話ですが)出来事でした。
後日談) 使用済みの全面マスクは除菌、清掃して再び配備されるのですが、中には「本当に除菌清掃しているの?」と疑いたくなるような物が配備されていたりしました。(マスクの中に臭い口臭がこびりっついていたり、おう吐物が残っていたり・・・)
赤の他人の口臭やおう吐物というのは、それに耐えられない人も多く、後日の作業で運悪く赤の他人の口臭やおう吐物が残った配備品のマスクを手にした人が、汚染管理区域でおう吐を繰り返す事件が多発!!
管理区域の中で「ぐぅぁぁぁ!?」の惨状が、しばらくの間繰り広げられました。
注) この文書は私が日本各地の原子力発電所で放射線管理を行なっていたときに遭遇した実際の体験談です。(ノンフィクション)
あんじん
左の写真は、実際にフードマスクを着用して作業を行なっている作業員の様子。(広い空間ではフードマスクが威力を発揮します。)
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